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“死”に魅入られたオーストリア皇后エリザベートの数奇な運命を描いたミュージカル「エリザベート」

美貌の皇后として絶大な人気を得ながら、堅苦しい宮廷を嫌い魂の自由を求めて彷徨を続けたエリザベートの生涯を描く本作は、ウィーンでの初演から2012年で20周年を迎え、日本でも東宝や宝塚歌劇で幾度となく上演された人気ミュージカル。
彼女に常につきまとっていた死の影を黄泉の帝王トートとして擬人化し、トートがエリザベートを愛したことから彼女の運命の歯車が狂いはじめたという大胆な解釈が観客を惹きつける。
また、演じる役者のアプローチによってふたりの関係性がさまざまに変化するのも、この作品のおもしろさだ。

エリザベート役は、今回が初参加となる元宝塚トップスターの春野。
宝塚時代にはトートを一際妖しく演じた彼女だが、今作では一転、可憐な少女エリザベート(愛称=シシィ)として登場する。自然豊かな土地で伸び伸びと育ったエリザベートは自由闊達でお転婆な少女に描かれることが多いが、春野はそこにやわらかな感性を加えているのが新しい。

自己の強さやカリスマ性で周囲を惹きつけるというよりも、人の心にすっと入っていくような開かれた心、周囲を包み込むようなふわりとした笑顔が印象的だ。
それゆえ、厳格な宮廷生活の中で豊かな感受性を傷つけられ、次第に自己防衛の仮面をかぶり、無邪気だった笑顔に悲しみや諦観が色濃くなっていくさまに胸が締めつけられる。

また、春野エリザベートの感受性の強さは、トートやフランツとの関係でも顕著だ。
彼女を愛し死の世界へと誘うトートに対し、幾度となく心が揺れ、よろめく。
フランツへ三下り半を突きつけた後のトートとのシーンでは、今にも魂を持って行かれそうな官能的な表情を見せゾクッとさせられた。
また、同時にフランツへの愛の片りんも晩年まで感じられ、ひとりの女性として揺らぎ続け、惑い続けた人間らしいエリザベート像が浮かび上がる。
一方で、皇后ながらハンガリー独立を支援し、晩年は公務を放棄し旅を続けた、エリザベートの強い意志や自我を感じさせる側面がやや弱く、この部分が立ってくると、より春野版エリザベートの輪郭が明確になるように思えた。

また、春野といえば宝塚時代から知られた歌の名手。
私が最初に観た最終稽古ではやや硬さが残ったものの、2度目に観た5月15日の公演では春野らしい伸びのある歌声を聴かせてくれた。
石丸との「私が踊る時」、石川との「夜のボート」、ともに歌唱力に定評のある役者陣とのハーモニーは耳に心地よく、端正で深みのあるビブラートにエリザベートの多面的な表情が覗いた。

黄泉の帝王トートを演じる石丸は、2010年公演からの続投。
前回公演では粘着質でアグレッシブなトート像を作り上げていたが、今回はアプローチを変え、一歩引いてクールにエリザベートを追いつめる。
それでいて、ふとした仕草や冷笑に石丸ならではの毒が効いており、それが生々しい死の匂いを感じさせる。
緩急に富んだパワフルな歌声も聴きごたえたっぷりだ。

ルドルフは、少年時代の加藤、青年時代の平方ともに今回が初出演。
「レ・ミゼラブル」のガブローシュの好演も記憶に新しい加藤は、自分を残し旅に出た母エリザベートへの思慕を、透き通った歌声にのせ豊かに表現。
また、母に会いたいと真摯に訴える演技にも引き込まれ、帝王学を叩き込む祖母ゾフィーの頑強な心も一瞬揺るがせたように見えた。
ルドルフのシーンは、今回より少年ルドルフがトートに渡す剣がおもちゃの銃へと演出が変更に。
青年となったルドルフが、再会したトートから本物の銃を渡されるシーンへの布石の意味合いが強くなった。

平方はすらっとした長身に軍服とロングブーツが映え、皇太子の品格も十分。立派な体格に反して繊細な感性と甘やかな声が持ち味というアンビバレントな魅力が、大帝国ハプスブルクの皇太子という頑強な座に惑うルドルフにピタリとハマッている。
トートとルドルフのキスシーンも変更となり、よりルドルフが意志的に死を選ぶ演出となっているのが興味深い。

その他、ゾフィー役の杜は、前回公演よりも威厳と風格を増し好演。
今回よりエリザベートの父マックスを演じる今井は、自由人の風情よりも娘への父性愛を強めた役作りで、温かみを感じさせる。
その分、同じ自由を愛する人間同士としての理解というよりは、純粋な親子愛の面が強くなった。
また、再演を重ねるルキーニ・高嶋、フランツ・石川は安定の演技。新キャストをがっちりと受け止め、重厚なドラマを支えている。

「エリザベート」は6月27日まで東京公演を行い、その後福岡、名古屋、大阪公演へと続く。
その他の役代わりキャストも含め、今後のさらなるドラマの深まりに期待が高まる。




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